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吉川英梨『私の離婚に関する予言0』

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私の結婚に関する予言0 私の結婚に関する予言0

#010~3 新生ソリューションアイ誕生! 永遠のわかれ


 私が振り上げたパイプ椅子は、なぜかてんで違う方向に飛んでいた。


 舞台袖にぽつりと置かれた大きな花瓶を直撃していた。


 リュウの葬式みたいでいやだと私が下げさせた、大小さまざまに美しく咲き乱れる花たち。


 パイプ椅子の直撃を受け、花瓶が割れ、水が飛び散り、花が疲れきったように床の上に横たわっている。


 咲いているのに、死んでいるようだった。


 リュウも今、私から遠く離れたプラハで、死んでいる。


 花は咲いているのに、死んでいる。






 違う。死んでなんていない。


 私は自分で気がつかぬうちに、その横たわった小さな花を、手に取っていた。


 リュウは生きている。彼の声が聞こえる。私の脳裏にしっかりと焼きついている。


 彼が叫んでいる。


 私の心の中で、必死に叫んでいる。


「平沢里香! お前をここまで育てたのはこの俺だ! お前にできないことは何もない! 自分の信念と情熱を信じ続けろ! この世で早瀬隆二からここまで愛された人間はいないんだぞ! お前だけなんだ! お前しかいないんだ! 忘れるな! お前はソリューションアイ創始者・早瀬隆二が八年もの間、愛して愛して愛しぬいた唯一の後継者だ! 俺の顔に泥を塗るようなことをしたら、ただじゃおかないからな!」



 突然、電気が走ったように全身が波打った。


 泣いている暇はない。


 恨んでいる暇もない。


 ソリューションアイを守らなくては。


 私が後継者だ。米アイロン社でも、ドクターコフィンでもない。


 私がやるのだ。

 私にしか、できないのだ。



“お前の信念と情熱に従え。ただそれだけでいい”

 やってみせる。私が守り抜いてみせる。

 リュウが築き上げ、成長させたこの会社。


 私の手で、復活させてみせる!





 私はゆっくりと、椅子の上に座って震えているドクターコフィンに近づいていった。


 彼はあきらかに、私を恐れていた。近づいてくる私を見ながら、瞳を不安定に揺り動かし、おびえている。



「ドクターコフィン」


ドクターコフィンが、母親に叱られた子供のように、びくっと一瞬、震えた。


「一ヶ月以内に、臨時株主総会を開きます。そしてそこで提案をして下さい」


「・・・提案?」


「米アイロン社からのソリューションアイ新会長の推薦を、辞退してください。そして早瀬隆二が指名した平沢里香を推薦し、支持すると。提案し、採決をしてください。私が必ず、提案を可決して見せます」


「無茶な・・・米アイロン社の幹部が黙っていない」


「あなたが黙らせるのよ! そしてあなたはソリューションアイとも、米アイロン社とも、一切の手を切ってハーバード大学に戻りなさい! そして人の命を救いなさい! あなたは37人も殺したのよ! そんなところでメソメソないている暇があったら、人の命を救いなさい! そして金輪際二度と、二度と私の前に姿を現さないで!」



ドクターコフィンは完全に圧倒され、黙り込んだ。



「では。一ヵ月後にここでまた、対決です。楽しみにしています。ドクターコフィン」








 パソコンの画面を開き、キーを一つ叩いた。

 外部に配布用のソリューションアイ会社案内ビデオが流れる。

「現在、世界5カ国に支社を持ち、ITからエネルギー事業まで幅広い事業を手がける多国籍コングロマリット企業・ソリューションアイは、さかのぼること約二十年前の1990年、ここ、ハーバード大学で、ある一人の若者のパソコンの中で誕生しました!」


ハーバード大学ケンブリッチ校舎が画面にうつり、そしてリュウの若かりし頃、大学生時代のキャンパスでの写真が画面にうつった。


 寮の小さな部屋で、パソコン片手にカメラにはにかんだ笑顔を見せる21歳のリュウ。


 相変わらず濃い眉毛に大きな瞳をしているが、その雰囲気に威厳はなく、どこかの気のいいおぼっちゃまのように見える。



「当時21歳だったソリューションアイ会長・早瀬隆二は、持ち前の才能とたぐいまれなる努力で、インターネット検索サイトを立ち上げ、瞬く間に世界の検索サイトを凌駕する存在となりました」


パソコンの画面に、東京の雑踏がうつる。そしてソリューションアイの旧本社だった代々木上原の雑居ビルがうつった。


「1995年、ハーバード大学経営大学院を卒業した早瀬隆二は母国である日本に帰国、ソリューションアイ本社を都心近郊の街に据え、新たにハードウェア開発事業部門を立ち上げ、更なる会社の飛躍を図ります」


そうしてソリューションアイの会社案内は、東証一部上場から六本木ヒルズへの本社移転、そして2002年の香港への本社移転までをめまぐるしい早さで紹介していく。


 携帯電話事業部の立ち上げ、放送メディア事業部の立ち上げ、投資信託部門の立ち上げ。 
 そして・・・。



「2005年には、会社の収益を少しでも母国の介護事業に役立てたいと、はぁとふる訪問看護ステーションを設立・・・」

酒屋を改造した赤堤の旧本社前で、当時26歳の私とジミー、そしてリュウの三人が仲良く笑顔で立つ写真がうつった。私はリュウとジミーに挟まれて真ん中に立ち、社長らしからぬ、ピースサインをして、白い歯を見せて笑っている。リュウは腕を組み、満足げな表情を浮かべて、カメラを見つめている。


「2007年、新たなエネルギーとして注目されたエタノール事業出資のため、ブラジルのコーン油精製工場を買収。同年末にはロシアの天然ガスパイプ事業に出資、ソリューションアイの快進撃は止まりません」


四年後にこれが爆発するなど夢にも思わず、天然ガスパイプ事業竣工式に関係者を集めてテープを切る、リュウの姿。米アイロン社の買収合戦に勝った直後で、東ヨーロッパ各国首脳と肩を並べるリュウは、自信に満ち溢れていた。


「2008年、ソリューションアイは新たなCSR事業の展開を見せます。アフリカ復興計画の一環として、ハーバード大学医学部と協賛し・・・」


義手義足チーム、HIVチームが各方面で活躍をしている動画が続く。ソリューションアイの株価が十万を越し、何もかもが絶好調に進んでいた、まさに頂点を極めていた瞬間だ。


 そして私はこのとき、ソリューションアイ地下にある秘密の核シェルターで、リュウに守られ、リュウに愛され、幸せな時間を過ごしていた。



 たったの、一週間だったけれど・・・。

 会社紹介が終わり、最後にリュウのインタビュー映像が流れた。




 今後の事業戦略について、ソリューションアイ会長室でほんの数ヶ月前に撮影された映像だった。


「エタノール事業は食料品の高騰を招いていますし、ロシアの天然ガスもいずれは枯渇する資源です。今後ソリューションアイは、地球環境を破壊しない、永続的に生産できる持続可能なエネルギー開発に投資をする予定です。東京大学素粒子物理国際研究センターとのコラボレーションで、北極探索にかかる費用の大部分をソリューションアイが負担し・・・」

 リュウは目の前に迫っていた自らの死を知る由もなく、熱い信念を持って未来を語っている。

 このソリューションアイの歴史の先に、自分が会長として存在しないことなど、夢にも思っていなかったリュウ。

 大丈夫。リュウ。私が引き継いだ。あなたの今後の事業戦略は、全て私が引き継ぐ。




「リカ。そろそろ行きましょう。演説が始まります」

 ジミーが私の背中に手を置いた。

 私はパソコンの中をもう一度覗いた。

 熱心に、大きな瞳を光らせ、会社の未来を語るリュウ。

 守っていてね、リュウ。

 私は心の中でつぶやき、パソコンを閉じた。

 振り返ると、ジミーの後ろに佐々木君が、これまでになく強い瞳で私を見つめ、立っている。






 私は臨時株主総会が始まったソリューションアイ地下一階の大ホール控え室を出る前、再度姿見で自分の全身を確認した。


 ダークスーツを完璧に着こなし、決して隙を見せなかったリュウ。


 私も、黒いスーツの裾を直し、埃を一つとり、そして仲間たちに目で合図をした。





 さあ。演説が始まる。
# by eri_yoshikawa | 2008-12-19 09:07 | #010~3 | Comments(0)

#010~2 新生ソリューションアイ誕生! 永遠のわかれ


 この一ヶ月、完成しそうでいつもバラバラになってしまう巨大なジグソーパズルの最後の一片が、はめ込まれた瞬間だった。





 この結末は決して、ドクターコフィンが望んでいたものではない。


 彼が予想し、希望したものではない。



 そしてドクターコフィンは、事態が悪化していくのを必死に防ごうとしていた。

 だから私に、香港の病院で、興奮して言って聞かせたのだ。

 行ってはならないと。

 だからミキを救出させるために、サワンディを説得させたのだ。

 なんとか事態が悪化するのを防ごうと、必死になっていたのだ。

 私とリュウと同じくらい、ドクターコフィンも必死になって事態の収拾に努めていたのだ。


「ドクターコフィン。あなたはあなたの一族が守ってきた米アイロン社の名誉を回復するためにこの事件を起こしたのかもしれない。そしてそれは成功した。おめでとう。安心して。あなたが一連の事件で訴追されることはないわ。この事件が明るみに出たら、世界中に予言者の存在が知れ渡る。あなたのように、予言者を操り、悪用し、私やリュウのように苦しむ人間がまた現れる。
 大丈夫よ、泣かなくたって。私は決してこのことを口外しない。そしてあなたはこれからこの先、誰に何を責められることなく、神の手を持つ天才外科医として、そしてソリューションアイという巨大な多国籍コングロマリット企業を飲み込んだ米アイロン社の会長として、最大の名誉を手にいれて、生きていく。そうでしょ」


 ドクターコフィンは、まるでそれを拒むかのように顔を覆った。



「でも、私は見たわ」

 声が震えて、言葉にならない。私は唾を飲み込み、全身がバラバラになりそうなほどの激しい怒りを抑え、ゆっくりと、ドクターコフィンの頭にナイフを突き刺してやるように言った。


「私は見た。あなたが、あなた自身のその手で、あなたの一族が二百年守ってきた名誉に、泥をぬったのを!」


「リカ」

「あなたは名誉を回復する代わりに、永遠にその名誉に傷をつけたのよ! 人を陥れて、人を死に追いやって!」

「リカ。償いはする」

「償いをする? どうやって?」

「これからソリューションアイを・・・」

「こんな会社もうどうだっていい!リュウを返して! リュウを返してよ! 」

 立ち上がり、絶句していた。誰もいない大ホールに私の声が響き渡り、何十倍もの大きさになってドクターコフィンに返って来る。


「あなた医者でしょ、神の手を持つ天才外科医でしょ。お願いよ、リュウを生き返らせて、リュウを返して。お願い、お願いよ・・・!」
私は彼の足元に、ひざまずいていた。彼の両足を掴み、必死に頼んだ。

「ドクターコフィン。お願いします。リュウを生き返らせて。あなたならできるわ。ねえ、そうでしょう? できると言って! リュウは戻ってくると言って! お願いよ! お願いします、お願いします・・・」


 私はそのまま壇上にくずおれ、彼の足元に額を摺り寄せていた。土下座をしていた。

「リュウを返して。リュウを返して。リュウを返して・・・」

「リカ・・・」

 ドクターコフィンは、それだけ言うのが精一杯だったようだ。全身から私の名前だけを一言搾り出すと、あとは言葉にならず、嗚咽を漏らした。


「これから全力で、私のできることならなんでもする。だから、耐えてくれ。私にはそれしか言うことができない」


 ドクターコフィンは彼の足元に転がっている私を抱き上げ、顔を上げさせた。


 ハーバード大学時代、そうやって私を慰め、力づけてくれたあの日と同じ優しい、父親のような瞳で私を包み込み、泣きながら謝罪を続ける。



「謝罪しかできないの」


 ドクターコフィンはただ涙を流し、黙り込んだ。


「謝ることなら猿だってできるのよ。答えて。リュウを生き返らせられないの?」


 ドクターコフィンは黙った。


「答えなさい! リュウを助けられないの!」


 ドクターコフィンは目を反らし、そして顔を覆った。


「役立たず! 何が神の手を持つ天才外科医よ! リュウを生き返らせられないのなら、あなたなんていたって意味がない! 帰りなさいよ! 今すぐここから出て行って! 私は忘れないわ。忘れないから。死ぬまで忘れない。あなたが私たちにしたこと。そして覚えておきなさい。あなたが早瀬隆二から奪い取ったもの、私が時間をかけて、必ず、全て、奪い返して見せるから!」


 ドクターコフィンは小刻みに頷いたまま、にっこりと笑った。そして涙をこぼした。


「ああ。そうしてくれ。そうしてくれないと、私の気もおさまらない」


 私また、泣き崩れるしかなかった。

 この人は、悪い人ではない。

 私が一番よく知っている。

 この人は“黒幕”と冠されるほどの悪人ではない。

 私と同じ、熱意を持った医者なのだ。私をハーバードでいつも助けてくれた、あの日と同じ、あの日のままの、優しい医者なのだ。


 本当の黒幕は、私たち自身なのだ。


 執着。

 アニル・ビンデルの暗殺を恐れる執着。

 リュウの私を守ろうとする執着。


 そして、人をかばって正義を貫き通した、私の、執着。

 正義。

 サワンディが言っていた。そんなもの無意味だと。人を傷つけるだけだと。


 幼い私から父親を奪ったのも、サワンディの心をめちゃくちゃに破壊したのも、“正義”だったと。


 私の心から、黒くて冷たい、どろっとしたものが、一つ、こぼれ落ちた。


“否定することはないよ。今、君の中に沸きあがった感情を”


 私は無意識のうちに立ち上がり、リュウが座るはずだった簡易パイプ椅子を掴んでいた。

 聞こえる。黒い声が聞こえる。




 誰もいない。

 今なら、この黒幕を始末することができる。


“リカ。君には長い間、他人に見せてこなかった暗い闇がある”


 椅子を掴む。爪をきしませて椅子を強く握り締める。


 黒いどろどろとした声が言う。訴追できないのなら、殺してしまえと。


 私は軍事訓練をつみ、鍛え上げられた体を持っている。この椅子を振り上げて、この黒幕の頭を横殴りにしてやればいい、ただそれだけのことだ。


 私ならできる。


 リュウを殺したこの男に、復讐することができる。


“リカ。否定することはないよ。今、君の中に沸きあがった感情を”


 彼は大切なあの人を、私から永遠に奪い去ったのだ。

 殺せ、殺せ、殺せ殺せ殺せ・・・!

 私はパイプ椅子を掴みあげていた。ドクターコフィンに向けて、振り上げた。

 ドクターコフィンは逃げも隠れもしなかった。

 静かな瞳で、私が振り下ろそうとする制裁を受けようとしている。


 初めて会ったときと変わらず、優しく穏やかな瞳。父親のようだと感じていた。

 父親のようだと、パパのようだと・・・。




 パパ・・・。



 小さな赤ん坊を抱く、パパの姿が、なぜかふいに浮かんできた。

「里香。里香。いい子だ。すごいな、まだ赤ん坊なのに、こんなに強い瞳をしている。きっと正義感の強い、すばらしい子に育つぞ。里香、いい子だ。里香、里香・・・」





 パパ・・・。

 私はいい子なんかじゃない。いい子なんかじゃ・・・。













 ガラスがめちゃめちゃに割れる、激しい音がして、私ははっと我に返った。
 
# by eri_yoshikawa | 2008-12-18 10:03 | #010~2 | Comments(0)

#010~1 新生ソリューションアイ誕生! 永遠のわかれ


 株主総会が終わった。


 正式には、中断となった。


 会場の混乱がおさまらなくなり、これ以上の続行は不可能と役員たちが判断した。

 怒号や失望、涙に暮れる株主たちは警備員たちによって強引に本社ビル外に追い出された。米アイロン社の男たちも静かに舞台から引き下がり、ソリューションアイ役員たちも本社ビルの会議室に引きこもってしまった。


 私はもう、動けなかった。

 一歩たりともその場から、動くことはできなかった。

 私は一人、リュウが座るはずだった舞台上の席の隣に座っていた。

 誰かが、私の肩を叩いた。


「プラハへ行かないのか」

 顔を上げなくても、声を聞こえばわかる。ドクターコフィンだ。


 米アイロン社がかつぎあげたソリューションアイ新会長の、ドクターコフィンだ。


「行かないわ」

「彼が待っている」

「リュウは戻ってくるって言ってた。だからここで待つの」

 ドクターコフィンは黙った。

「絶対戻ってくるって約束してくれた。だから、私はここで待つわ。彼の席もちゃんと確保してある。大丈夫。彼は絶対、戻ってくる」

 私は頑なにそう言い張って、頑として席を離れなかった。
 ドクターコフィンが席を一つあけた私の隣に座った。


「たった今、ソリューションアイ本社にパキスタン政府から一報が入った。ミス・ミキ・ハヤセ。無事に、救出されたそうだ」

「・・・そう」

 私はそれしか、答えられなかった。

「どうやらミスターリュウジ・ハヤセはまたあの、北朝鮮のスパイを使ったようだな。インド特殊部隊と協力して、うまくやってくれたようだ。CIAの顔をつぶさないようにね。さすが、リュウジ・ハヤセだ」

 ドクターコフィンがため息混じりにいい、そしてまた大きな声で言った。

「すばらしい男だった」

「彼はすばらしい男よ。世界一の男よ。すばらしい男だった、じゃない。今でも彼は、すばらしい男よ」

 ドクターコフィンは大きく頷いた。

「君の言うとおりだ」

「あなたはそんな彼の裏をかいた」

 私は鋭く言って、初めて、少し離れたところに座っているドクターコフィンを見た。

「見事だったわ。拍手をしてあげたいくらいよ」

 ドクターコフィンは表情ひつと動かさず、黙っている。

「三年前、米アイロン社が簡単に分裂して、鉄鋼部門がソリューションアイに買収されたのは、あなたの指示だったんでしょう。あなたを慕う鉄鋼部門の幹部を説得し、わざと買収に応じさせたんだわ」

「そのとおりだ」

「そしてアメリカ製とは思えないほどのオンボロの鉄筋を天然ガスパイプ事業のために輸出させ、いつかそれが事故を起こすのを、楽しみに待っていたってわけね」

「そのとおりだ」

「・・・何人死んだと思っているの」

「まさか死者が出るとは・・・」

「36人も死んだのよ! あなたが殺したのよ!」

ドクターコフィンがごくりと唾を飲み込んだ。

「36人じゃない。37人だわ。リュウをいれたら37人。リュウを銃撃したのは、天然ガスパイプ事故犠牲者のお父様ですってよ。リュウに恨みを抱いて拳銃を放ったんですって。あなたのせいよ。そうでしょ?」

 ドクターコフィンは黙った。長い間黙って、そしてぽつりと言った。

「私は何もしていない。勝手に君たちが暴走しただけだ」

 怒りで内臓がひっくり返った。くってかかろうとする全身の細胞を必死に押さえる。

 私が言う前に、ドクターコフィンは勝手にヒステリーを起こし、叫び出した。

「私が何をした! 私は予言者をそそのかしただけだ。あとは君たちが全部、勝手にやったことだ! けれど君の恋人は何をした! スパイをわざわざ米アイロン社に送り込み、スパイ活動をさせるように仕向け、裏で姑息に動き回り、最終的には私の一族が二百年以上守り続けてきた会社を、ここぞとばかりにめちゃくちゃにした!」

「でもリュウは、人を殺したりなんかしていない!」

 ドクターコフィンが黙った。

「あなた医者でしょ。これまで必死に働いて、何人もの人たちを死のふちから救ってきたあなたが・・・。あなたが、殺したのよ。あなたが殺したんだわ!」

「違う。私は予言者の耳を治してやっただけだ! 骨抜きにされたアイロン社に戻り、社長に復帰するときに、うわさを聞いた。早瀬隆二が、北朝鮮の元スパイやら予言者を雇い、我々を陥れたと。だから君が今、私を痛めつけてやりたいと思っているのと同じように私も、早瀬隆二に少し痛い目を見ていてもらいたいと思っただけだ。
 予言者を見つけ出し、暗殺を恐れる国会議員にこう予言しろと言った。
 早瀬隆二と平沢里香の子供こそが、アニル・ビンデルの暗殺者であると。たったこれだけだ。私がしたことは、たったこれだけだ!」


 たったこれだけ・・・。


 本当だ。本当に、たったこれだけのことだったのだ。


 これだけのことで・・・。

「予言者は私が医者だと知って、耳を治してくれと頼んできた。生まれつき耳が聞こえない聾唖の予言者。そして生まれたばかりの次男坊もまた、耳が聞こえないとわかり、予言者は落胆していた。耳を治してくれたら、予言を捏造すると、あいつはそう言った」



 つましいが幸せな生活を送っていた、予言者とその息子。そして聾唖の次男。


 誰が責められる。息子の声を聞きたいと、息子の耳を治してやりたいと、ただ素直にそう思った聾唖の男の思いを、誰が責められるのか。


「私は米軍の最新鋭の補聴器を彼の内耳の奥に埋め込んだ。通常は負傷した兵士や相当な金持ちしかできないような高額医療だ。私はそれを、無料でしてやると約束した。予言の捏造と引き換えにね。息子の方はまだ幼すぎて手術ができないが、いずれ彼も治してやるつもりだ。自分の耳が治ったので私を信頼した予言者は、私の望みどおりに動いてくれた。そしてその後は・・・」







 ドクターコフィンはまたごくりと唾を飲み込み、うなるように言った。

「君たちが勝手に暴走した」


 体中に熱いものが駆け巡る。血がここまで熱くなることがあるのか。脳の中が怒りによって沸騰した血流で、今にも破裂しそうだった。

「私がこんなことになると予想していたと思うのかね。そんなはずはない。君たちが、君や早瀬隆二、そしてアニル・ビンデルが勝手に暴走した。天然ガスパイプ事故だってそうだ。ガス漏れが発見されればただちに供給は止まる。ソリューションアイは赤字を垂れ流して打撃をこうむる。ただそれだけだ! 私が想像したと思うか、それを願っていたと思うか! まさか労組が暴徒化するなんて、私がそれを願っていたと思うか! まさか犠牲者が出て、その恨みを買って君の恋人が銃撃されるなど、私が予想していたと思うか!」


 殺してやりたい。今すぐこの男の喉をかっきって、殺してやりたい。殺してやりたい・・・!


 私の感情を包むように、ドクターコフィンが静かな口調になってつぶやいた。


「アニル・ビンデルの、暗殺を逃れようとする異常なまでの執着。早瀬隆二の、君を守ろうとする異常なまでの執着。そして、君の、人をかばおうとする異常なまでの執着。それが事態をここまで悪化させたんだ」

 ドクターコフィンは目を反らし、伸びかけた顎の髭をさすりながら、つぶやくように、自分に言い聞かせるように、苦しそうに、言った。




「私は何もしていない。何もしていない。何も、何も・・・」



 その声はやがて涙と共に震え、ドクターコフィンの後悔の海に沈んだ。


 彼は、泣いていた。


 勝者のはずの黒幕が、泣いている。
# by eri_yoshikawa | 2008-12-17 09:47 | #010~1 | Comments(0)

#009~5 株主総会大決戦! 黒幕の正体と死のカウントダウン!


「ジミー! どうしたの!」

「予言者が・・・」

「彼がどうしたっていうの!」

「確かに、4年前、出国していました」

「どこへ行っているの、どこで手術を?」

「アメリカです。アメリカの、ローガン国際空港に降り立っていると・・・」


 全身から血の気が引いていくのがわかった。

「確かに、ハーバード大学医学部のある、ボストンに降り立っていると・・・!」

「そんな、バカな・・・!」


 ここが株主総会の会場であることも忘れて、私は絶句するしかなかった。


 待て。落ち着け。考えるのだ。早まるな。黒幕がハーバード大学にいる? そんなはずない。ボストンのハーバード大学医学部のある一体はロングウッドメディカルエリアと呼ばれているのだ。他にもたくさん、医療設備はある・・・ある・・・。



 私はそこで、ある一つの事実に行き着き、絶望した。

「ジミー・・・」

 彼の腕を掴み、私は泣き出していた。私はこの体の底から沸きあがる怒りと絶望を、ジミーの腕を掴むことでしか、発散することができない。


 サワンディがいつだったか、私に言った言葉。


 つながった。



 つながって、しまった。


 あの人に。


 あの事実が、黒幕が彼であると、告げている。


 彼こそが、今回私に出された白紙の予言から始まった一連の事件、全ての黒幕であると、告げている。



“一度、彼を訪ねてわざわざインドからやってきた患者がいてね。彼は貧しかったから旅費を出すのに精一杯で、とてもオペのお金を出せる状況じゃなかった。けれどドクターコフィンは無償で引き受けた。僕も手伝った。あの患者が、何度も何度もドクターコフィンに頭を下げて、泣きながら両手を合わせて感謝を伝えていた光景、今でも覚えている”



 違う、里香。彼を疑うのか。本当に彼なのか? 本当に彼が黒幕なのか?

 彼はただ、手術をしてやっただけなのではないか? それと今回の事件とつながりがあるのか? そんなはずない。彼は立派で私が唯一尊敬する偉大な医者だ。


 彼のはずはない、彼のはずはない、これはただの偶然だ・・・!




 そのとき。

 米アイロン社の歴史をとうとうと語っていた壇上の男が、意味もなく大げさに、ファンファーレでも鳴らすかのようにこう言った。


「それでは、ただいまより、我々米アイロン社が推薦するソリューションアイ新会長をご紹介します。米アイロン社創始者・ドクターウェールズ氏の直接の子孫にあたり、またこの米アイロン社を二百年にわたり成長させていったウェールズ一族の末裔・・・」


 そしてパンドラの箱が、開けられた。

 いや。この箱はもう、開いていたのだ。

 四年前の今と同じこのソリューションアイ本社ビル地下一階の大ホールで。

 四年前の今と同じ、株主総会の席で。

 私とリュウは、二人で力を合わせ、私たち二人の未来に大きな災いをもたらすパンドラの箱を、開けてしまっていたのだ。


「米アイロン社の正式な後継者、世界的に名の知られた神の手を持つといわれる天才外科医・ドクター・アーノルド・ウェールズ・コフィンです!」


 米アイロン社代表はそう叫び、大ホールの入り口を指差した。


 株主たちがいっせいに後ろを振り返る。

 扉が開き、白衣を脱いだドクターコフィンが、グレイのスーツを紳士にまとい、ゆっくりと威厳を持って姿を現した。


 私は全身の力が抜け、へなへなと客席の床の上に座りこんでしまった。


 ジミーはあまりのことに棒立ちになり、私を助け起こすことも忘れ、ドクターコフィンを見つめている。

 ドクターコフィンは株主たちの視線を全身に浴びても動揺する様子もなく、静かに、一歩一歩、階段を降り、壇上に近づいてくる。


 その間にも、米アイロン社代表は興奮気味に語る。


「我々は、ソリューションアイ会長が指名した後継者・ミス・リカ・ヒラサワの会長就任に反対し、同時に、我々の指名した新会長、ドクター・アーノルド・コフィンへの会長就任決議を提案いたします!」


 ドクターコフィンは一切の感情を捨てた表情で、まるで能面のような顔をして、まっすぐ壇上に向かう。


 ハーバード大学で私をサポートし、リュウのように目じりに皺を寄せて優しく笑ってくれた、ドクターコフィン。


 今、私の目の前を通り過ぎて行こうとする彼は、あのドクターコフィンではない。


 予言者を操り、私たちを罠に陥れ、リュウの命を危険にさらし、ソリューションアイを丸ごと飲み込もうとする、米アイロン社創始者一族の、末裔だ。



 私は立ち上がっていた。そして叫んでいた。


「あなたに、あそこに上がる権利はない」



 階段に足をかけかけていたドクターコフィンが足を止め、くるっと私の方に向き直った。


「それはあなたが一番よくわかっているはず。そうでしょ」



 会場が、異様な雰囲気に包まれていた。


 株主たちは興奮を押し殺し、二人の会長候補の戦いを、固唾を呑んで見守っている。

 株主たちだけではない。私やドクターコフィン、ジミー、そして他、壇上に上がっている男たち、全員のアドレナリンが一気に噴出し、二千人以上の人間が詰め掛けているこの大ホールを異様な静けさに導いていた。





 そのとき。


 会場の静けさとは場違いなほどに軽い、パタパタという足音が壇上に響き渡った。
 誰も呼んでもいないのに、ソリューションアイ役員の一人が転がるようにして壇上に上がってきた。この会場の空気を読めないのか、一人落ち着きなく体をぶらぶらさせ、唇を震わせている。



 壇上にいる米アイロン社の面々も、ソリューションアイのほかの役員たちも、戸惑い、今転がり込んできた役員の顔を見ている。司会を務めていた男に、役員が耳打ちする。

 それは瞬く間にソリューションアイ役員全員の耳に伝わり、彼らを絶望させていく。
 そして彼らはうなだれ、その絶望したまなざしを次々と、私に返した。


 一体次に、私の身に、私たちの身に、何が起ころうというのだ!


 司会の男が声を震わせながら、必死に全身から音を搾り出すようにして、やっと口を開いた。


「株主総会の途中ではありますが、ここで・・・」


 声を詰まらせる。男の瞳から涙が落ちた。

「ここで、皆様に、重大なお知らせが・・・」



 なぜ、泣くのだ。役員たちが落胆し、席にくずおれていく。


 まさか・・・。


 舞台袖を見た。出番を待ち構えていた佐々木君が、肩を揺らせて泣いていた。







「先ほど、チェコ共和国プラハの病院より、一報が参りまして・・・」





 客席にいたジミーが立ち上がり、悲壮な表情で舞台上に駆け上がった。











「ソリューションアイ創始者であり、会長兼CEOのリュウジ・ハヤセ氏が、先ほど、お亡くなりになられました」
# by eri_yoshikawa | 2008-12-16 09:12 | #009~5 | Comments(0)

#009~4 株主総会大決戦! 黒幕の正体と死のカウントダウン!


 その報告書を半分読み終えたところで、気がつくと私は二千人キャパの開場を埋めつくす株主たちの中にいた。




 皆、私を遠巻きに見ている。

 私の恋人が、この会社の創設者が生命の危機に瀕していることを知っている。それなのになぜ彼女はのん気に客席で報告書など読んでいるのだろう、そんな顔をして、ちらちらと私を振り返っている。


 私は構わず、報告書のページをめくった。


 私の直感がそう言っている。今、これを読むべきであると。

 
 報告書の3分の2を読み終えたところで、私の手は怒りでふるえ、止まらなくなっていた。まさかこの報告書に、こんなに恐ろしい事実が書いてあるとは・・・。


 この天然ガスパイプガス漏れ事故、そしてそれに付随して起こった爆発事故は、3年も前から周到に準備され、計画されていたものだったのだ!


 すでに株主総会が始まり、担当役員が危機的状況であることを示す大赤字の決算報告をし終え、株主たちが大きな怒号にも似たため息をもらしたところだった。


 これを公にしなければならない。
 この報告書が事実ならば、私は今これを、この株主総会で公にしなければならない。


 ジミーの姿を探した。


 彼は事実上、まだCFOに復帰したわけではない。壇上にはいない。会場のどこかにいるはずだ。


 まずはジミーに話さなくては・・・!


 この一週間で筆頭大株主となった米アイロン社の代表が壇上に上がり、四年前と同じようにたくさんの資料を振りまいて、演説を始めた。


「・・・我々は株主としてこの事態を重く受け止め、ソリューションアイ会長であるリュウジ・ハヤセ氏に厳重抗議し、彼の不信任案を提出いたします!」


 そんなことはさせるか。

 リュウは必ず戻ってくる。


 そしてこの報告書を公表し、米アイロン社の立場をひっくり返してやる。

 ジミーを探す。席を立ち、目立たないように、ジミーを探す。

 ソリューションアイ役員が壇上に立ち、言った。

「誠に遺憾なことではありますが、今朝のニュースで皆様ご存知の通り、ソリューションアイ会長兼CEOのリュウジ・ハヤセはプラハにおいて何者かに銃撃され、現在も意識不明の重体が続いております。不信任案云々の前に、我々はここで、彼が、この多国籍コングロマリット企業を創設し、二十年もの間成長させ続けたリュウジ・ハヤセが直接指名した唯一の新会長を紹介いたします!」

 ジミーを見つけた! 会場の最前列にいた。

「ミス・リカ・ヒラサワ!」

 誰かが私を呼んでいる。

「ちょっと待って」

 私がそう答えるか答えないかのうちに、米アイロン社が手を上げた。

「その件に関しまして、我々の意見を述べさせてもらいたい。皆様、よろしいでしょうか。まず、我々米アイロンインベストメントホールディングスは・・・」


 なぜか米アイロン社は、1800年代から続く自社の歴史を、この場でとうとうを語り出した。何を意図したいのか、何を企んでいるのか全く意味がわからないが、私にとっては都合がいい。


「ジミー!」

「リカ! 早く壇上へ・・・!」


「これを見て!」

 ジミーが報告書を見て、ため息をもらした。

「なぜ今さら、こんなものを。これはもう爆発してしまったんですよ」


「違うのよ! 私たち、私もリュウもあなたも、ソリューションアイも、罠にはめられていたのよ!」


 声を押し殺し、必死にジミーの肩を掴んでいった。


「どういうことです。罠はあの予言だけではなかったのですか」


「相手を知り、分裂させ、いっきに攻撃をしかける! リュウは米アイロン社を弱体化させるために、鉄鋼部門の逆買収をしかけた。そうでしょ」


「知っています。それがどうかしたんですか」


「それこそが、米アイロン社がしかけた罠だったのよ!」


 ジミーが青ざめ、私が指し示した報告書のページに目を通した。そして大きな瞳をぎょろりと動かし、血走った怒りに満ちた表情で私を見つめた。


 報告書にはこう書かれてあった。


 天然ガスパイプラインの破損・ガス漏れ事故は起こるべくして起こった。


 ソリューションアイ鉄鋼部門(工場:米国リッチモンド)より輸出され、補強材として利用されていた鉄筋の成分は基準値を大きく下回っており、その品質は現地で懸念されていた東ヨーロッパ諸国の鉄筋の基準値すら大きく下回っている。鉄の純度は30パーセントにも満たず、あとの70パーセントは不純物を多く含み、長く持ちこたえてもこの鉄筋では3年が限度・・・。





 ジミーは唇をかみ締め、無念の表情を浮かべた。

 相手を知り、分裂させ、いっきに攻撃をしかける。



 それをやってのけたのはソリューションアイではなく、米アイロン社だったのだ。



 「これから演説に行く。これを公表するわ」

「早まらないで、リカ。まず裏を取ってからではないと」

「これが、この報告書が証拠じゃないの!」

「これもまた罠だったらどうするんですか! ただの紙切れの報告書ですよ! 発表するにはまだ早すぎます。裏を取り、事実関係の証拠を集めるのが先です!」

「そんなことしている間に買収が成立してしまうわよ!」





 ジミーの携帯電話が鳴った。


「ちょっと待って。アニル・ビンデル氏からです!」

 ジミーは携帯電話を耳にあて、興奮で肩を揺らしながら相手と話している。そしてただでさえ激昂し、興奮状態にあったジミーの腕が、信じられないほど震えだした。


 こんなジミーを見るのは初めてだった。


 いつもリュウと同じように冷静沈着でおだやかだったジミー。唇をわなわなと震わせ、目に涙をいっぱい浮かべている。悲しいからではない。怒りと驚愕と混乱だ。それがないまぜになり、受話器を耳にあてたまま、私を見つめている。





 また何か悪いことが起こったのだ。もう一体何がどうなってるんだ! こんな株主総会の真っ最中に!
# by eri_yoshikawa | 2008-12-15 09:17 | #009~4 | Comments(0)
■ 平沢里香
正義感が強くてがんばり屋の30歳。
前作『結婚38』では、企業買収、拉致、看護師資格剥奪・・・と怒涛の日々を送るがへこたれないスーパーパワフルな女性。 現在は、医者になることを夢見てハーバード大学の医学部へ進学を決意!

■ 早瀬隆二(リュウ)
世界5カ国に支社を持つ企業ソリューションアイの会長兼CEOという敏腕イケメン経営者。39歳。5年前里香と出会い不倫関係に。
吉川英梨(よしかわえり)

1977年9月6日生まれ。
大妻女子大学短期大学部日本文学科卒業。

出版社勤務の傍ら、シナリオセンターにて脚本のノウハウを学び、テレビ・映画等の企画に参加。

現在、特定非営利活動法人NICE(国際ワークキャンプセン ター)中長期ボランティア運営員会副委員長。米テンプル大学日本校教養学部政治学科在籍中。


[連載小説]
*毎週月~金曜日連載*
東村アキコ(ひがしむらあきこ)
HIGASHIMURA Production
漫画家
1975年生まれ 宮崎県出身
1999年集英社「ぶーけ」でデビュー

■ 現在の連載作品
週刊モーニング
「ひまわりっ~健一レジェンド」(講談社)
月刊クッキー
「きせかえユカちゃん」(集英社)
月刊コーラス
「ママはテンパリスト」(集英社)


第3回日本ラブストーリー大賞・エンタテインメント特別賞受賞作。
エール大学を卒業したエリート看護師・平沢里香は、以前、よくあたると評判の占い師に「29歳で結婚する」と預言され、そのキーワードは「38」だと言われる。そして29歳になった彼女の周りに、次々と「38」に関する男たちが現れる。不倫の恋を続けているIT企業の社長・リュウを筆頭に、元彼の鬼太郎、支店長候補に応募してきた佐々木君、母親の韓国語の教師・スンジェなどなど。果てはイケメンたちとの恋にとどまらず、リュウのIT企業の買収合戦に巻き込まれ、敵企業のスパイに拉致されてしまう里香。果たして里香の運命は? そして結婚の預言の行方は……!?
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